書店の近代
【書 名】書店の近代
【著 者】小田 光雄
【発行所】平凡社新書
【発行日】2003/5/19
【ISBN 】4-582-85184-3
【価 格】740円
副題は「本が輝いていた時代」になっています。
江戸、明治の書店、個別では丸善、金港堂、洋書の中西屋南天堂、岡書院、上海の内山書店、紀伊国屋書店、西川誠光堂などが取り上げられています。
■啄木が自分の詩集を古本屋に売りに行ったエピソード
「この"あこがれ"は五銭てとこだね」
「五銭...」
「無名詩人ですよ。お客さん」
今だったらとんでもない値段でしょうね。
■檸檬の原作があった
梶井基次郎と言えば檸檬が有名ですが、これって最初は詩の修作だったんですね。大正11年の「秘やかな楽しみ」がそれで、檸檬を買って丸善に行くシーンはまったく同じです。これが後の檸檬になったんですね。
■紀伊国屋書店は薪炭問屋から
紀伊国屋書店は新宿市電の終端で昭和2年に誕生しました。実家はその土地で代々続いていた薪炭問屋だったそうで、慶応義塾を出た田辺茂一が22歳で書店を開業したのが発端です。
■古書業界
大正中期に書籍が委託制になり、大量の返本が発生し、それを処理するために古書業界が伸びたそうです。岩波書店も三省堂書店も古本屋さんからのスタートでした。
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コメント
はじめまして、もんもんいと申します。
『書店の近代』でネット検索していたら、書評を書いてた方がcocologにいらした!のを見つけて、トラックバックさせていただきました。
梶井基次郎の『檸檬』にあんな裏ネタがあったなんて、私もびっくりでした。
(それにしても、『秘やかな楽しみ』の詩は素敵でした...)
水谷さんは、古書とのおつきあいがとても深いと、お見受けしましたが...。
私は、古本屋といえば、友人がマンガを売りに行った、みたいな話しか聞かないような田舎育ちなので、上京して神田の古本街を見たときは、「こんなに古本屋が林立して商売になるのか!?」と驚いたくらいです(汗)。
学校のコースが出版史関連ということもあり、これからも、貴ブログを楽しく拝読させていただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
投稿: もんもんい | 2004/07/25 02:24