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2004/06/07

古書無月譚

 【書 名】古書無月譚
 【著 者】尾形界而
 【発行所】東京堂出版
 【発行日】1993/11/10
 【ISBN 】4-490-20199-0
 【価 格】1165円

古本屋に入ってきた客が今度行われる大市の目録を出して「ぜひとも立原道造の詩集を買いたいのだが」と言い出した。見ると写真版に出ている限定111部の署名入本である。

昭和12年に出た「萱草に寄す」である。
「ああ、ワスレグサですか。」

「あんたに頼もうか」
「え、なにを?」(まさか入札を!?)

今度の大市は入札である。客から頼まれた古本屋の店主が客と値段を決めて入札する仕組になっている。

「東京に懇意にしている本屋があるでしょう。」
「あるけどね」
「住まいの近くにも本屋があったでしょう。」
「本屋なんてないよ。本屋はなくなったな。あんたの所で6軒目だけどね、字が読めない。読めたのはあんたが最初だ。皆カヤグサと読んでいる。」

ひょんなことから大市で市場には2度と出ないと言われている本の入札をまかされた場末の古本屋さんの物語である。

古本屋での入札の値段の決め方、別の業者との駆け引きなど古書好きにはたまらない一冊です。最後もおもしろいですよ!


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