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2004/06/03

古書街を歩く

 【書 名】古書街を歩く
 【著 者】紀田順一郎
 【発行所】新潮選書
 【ISBN 】4-10-600208-6
 【発行日】1979/10/20
 【価 格】750円

福武文庫から新版として文庫本が出ていますが、こちらはその元となった本です。白木屋(現在の東急)などで古書市が行われた頃のいい時代の話などが満載です。

開店前すでに100人前後にふくれあがったマニアが、ガラスのドアを押して侵入しようとするさわぎ。

「良識ある行動をお願いします」とデパートの係員が叫ぶが、「早く開けろ、ケガ人が出るぞ」の声に圧倒されてしまう。前方でガラスにへたばりついた者は、じっと店内を伺っている。何基あるエレベータのどれが早いか、それともエレベータを駆け上がるかといった思案をしている。

10時開店と同時に奇声を発して雪崩こんだ古書マニアは2、3人の女店員をなぎ倒すやら、自分たちもツルツルに磨いた床に尻餅つく始末。

首尾よくエレベータに殺到さた先頭の一団は眼をつりあげて乗りこむやエレベータガールの背中におしくらまんじゅうのようにすがりつく、これは他のところに入ると、奥におしこめられてしまい、目的の階を出るとき4、5秒の遅れをとることになるからだ。エレベータガールは当然悲鳴をあげる。

それをかき消すように、「もう満員!」「ノンストップで7階に直行」などと口々にわめく。

7階。ズラっと並んだ用品売り場の女店員の見守る中を、大の男が追いつ追われつの大レース...

今では見かけることが無い光景ですねえ... 

■ヘンリーミラーの言葉
「金と同じように書物もふだんに流通させておくのがよい」という言葉があります、大阪あたりの都会では蔵書の保管費を考えたらとても手元に置けるものではありません。

ということで私の場合は、本棚2つに入らない分は全て読み終わったら古本屋さんへ直行するようになっております。読み終わった本を段ボールに入れて一杯になったら近くの古本屋さんに持ち込んでおります。

■バンザイ全集
全集を出すのは出版社としても大変で、第1巻を出したところ全然売れなく、その後の刊行をやめた全集もあるそうで、お手上げという意味で「バンザイ全集」「グリコ全集」と言うのだそうです。

■日本史篇
厳松堂が戦前に出した古書目録ですが、本文1096ページで、ほとんどあらゆる分野の文献が約6万3千点掲載されたいたそうです。

全国の古本屋さんが資料として活用したというぐらいすごい古書目録だったそうです。しかも自店在庫のものもありますが、ほとんどは色々な文献から拾い出したもので、いざ注文を受けてから探すという図太い神経だったようです。当時はそれでも何とかなったそうです。

■広文庫、郡書索引
物集高見、高量の親子二代に渡って、古い文献から制度文物・社会風俗に関するあらゆる事象を抜き出して作成した百科全集ですが、執筆のために田畑を売り払い、最後は寝ていたフトンを債権者に差し押さえられるというとんでもない状況でした。

学者の仕事の大半が文献検索に費されているので、その基礎的な文献索引を作ってやろうと企画されたものですが、個人でやるのはすさまじい量でした。

最後は命より大切な書物まで差し押さえられ、「今日、文明社会になったと言う者がいるが、これがその文明か!」と叫ぶ、大変な状況になっているのを新聞社が報道してくれてパトロンが現れ、出版することが出来ました。執筆を初めてから30年が経過していたそうです。

その37年後に名著普及会が復刻をしようと、まだ存命だった物集高量氏を訪ねたそうです。

「私はうれしいですが、この本を出すと、あなたの会社がつぶれますよ」と反対に止められたそうです。

「私には最近の出版社のようすが分かりませんが、講談社とおたくでは、どちらが大きいのですか?」
この時、名著普及会の小関社長は大きく胸をはって「それは、規模から言えば講談社が大きい。しかし、精神においては、ウチがはるかに大きい」こうして1975年に復刻版が出て、埋もれた書物に生命を吹き込んだのでした。

■敵中横断三百里
日露戦争の時、後の建川中将が奉天会戦を前にロシア軍の後方を偵察してその情報をもって日本軍を勝利に導いたドキュメントで、作者は山中峯太郎です。

全軍総司令官から秋山少将のもとへ秘密命令が来るところから始まります。「坂の上の雲」とあわせて読むと最適です。

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