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2004.06.28

永すぎた春


 【書 名】永すぎた春  【著 者】三島由紀夫  【発行所】大日本雄弁会講談社  【発行日】1956/12/25  【価 格】240円(古書価1000円)
大阪の青空古書市で掘り出してきました。少々ヤケもありますが、そ れでも三島由紀夫の初版本です。検印にもちゃんと三島と捺されてい ます。それがわずか1000円ですので、一時期の初版本ブームもす かっり消えてしまったようですね。出版は講談社の古い社名になって います。

実はこの作品、主人公が古本屋さんの娘さんで、それも帝大前のたぶ
ん本郷あたりの古本屋という設定です。映画化もされたそうで、その
スチール写真がちょうど振り市(古本の業者の市で本のセリ市)で発
声している若い女性でした。(女優の名前は忘れまして)

その印象があったので本を買ったのですが、期待していた振り市の場
面などは最初だけで物語は古本屋さんとは全然関係なく進展していき
ます。でも、なかなか登場する人物がなかなか面白くって、つい引き
込まれてしまいます。

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2004.06.22

古本商売 蒐集30年


 【書 名】古本商売 蒐集30年  【著 者】青木 正美  【発行所】日本古書通信社  【発行日】1984/7/15  【価 格】2500円
神保町の古書会館2階でやっていた古書市で見つけてきました。

●古本と古書の違いですが
古本はセカンドブックまたはユーズドブック、つまり新刊書店にもあるが
それより安く買える本になります。

古書はレアブックとかアンチックブックとなり稀少価値がでるものです。
古典籍は江戸以前の和書とかそういう扱ですね。中には国宝なんてのもあ
ります

以前に日本古書通信(第61巻 第6号)に古本屋控え帳という青木氏の
連載記事がありましたが、それを読んでいますと、いよいよ青木書店(下
町の古本屋)さんも転業を考えているようです。

現在は息子さんが古本屋をやられているそうですが活字離れ、新古書店の
乱立(ブックオフなどのリサイクル書店ですね)などが原因のようです。

●古本屋ははたして儲かるか?

資料物を扱う古本屋がではコツコツとバックナンバーなんかを揃えて売る
商売ですので、ストックしておく場所がいります。

Aの古本屋は先代からの持ち家で敷地も割と広く、几帳面な性格ですので
着実に営業成績を上げています。

Bの古本屋は豪放磊落型で商品管理などはAにおとります。この業者もよ
く買うので(揃えるために)店は手狭になり新宿の先の農家の土地を百坪
ぐらい買って倉庫を作ってそこに置くようになりました。

資料物の揃といってもそんなに高いものではありません。全国の大学で医
学部の新設ラッシュなどが起きたときは特需になりましたが、あとはボツ
ボツと売れるだけです。 

さて古本屋さんは儲かるのでしょうか?

20年が過ぎました。AもBもあいかわらず商売をやっていますがBの土
地は1億円ちかくに値上がりしました。ただBもそんなことにおかまいなし
に商売を続けています。

Aはどうなったでしょうか。1億なんて財産ができたでしょうか。まあ無
理でしょう。結果としてBが資料を置くために用意した土地が値上がりし
ただけです。たまたま幸運だっただけで結論から言えば古本屋は儲からな
い商売なんでしょう。

大体、東京の山手圏内の神田神保町で坪単価いくらか知りませんが、あん
な土地で1冊100円とかいう均一本が並んでいるんですから、考えてみ
たらすごい商売ですね。

●さて本からの話題をひとつ

古書業界の第1人者といえば何といっても反町茂雄氏でしょう。昭和の初
めに東大を出て丁稚奉公で古書業界に入ったという変わり種です。古典の
価値を普及するのに努め弘文荘という古書店(店舗は無く目録販売だけで
す)を経営されていました。さて本にはこんなエピソードが載っています。

昭和48年に志賀直哉の肉筆原稿が出て業者市で22万円でS書房に落ち
ました。半年後にまた市に出たので青木氏も入札しましたが反町氏が41
万円で落としたそうです。(前の業者市に反町氏は欠席していたようです)
1年後、反町氏の目録にそれが35万円と出ていました。

青木氏はすぐ電話して買ったそうです。それにしてもふにおちないのが反
町氏がなぜ仕入値より低い値段をつけていたかです。仕入値を忘れてしま
ったのでしょうか?

古書業界に詳しい人に聞くと「仕入値より安く売るなんて、しょっちゅう
ですよ。反町さんは仕入値に関係なく、もう一度自分の価格体系で値をつ
けているのです」つまり高く仕入れても、その本を調査してその本にとっ
て妥当な値段で売るということです。

反対に青木氏が反町氏の目録を見て「土佐日記 二条為氏筆」が750万
とあって、まあ反町氏が扱うのならあるだろうなというシーンも出てきま
す。

ところがよくよく見ると7500万円という数字で エエ!!

7500万円!!と驚いていると数日後の朝日新聞のトップに記事が出て
いて、息子の嫁さんから「反町さんの記事が出ている。」と知らされます。

新聞には「為家本が出てくるとは驚いた。日本でもっとも価値のある本、
国が買いあげるべき本だ。値段も安いぐらいだ」という学者の談話まで載
っていて初めて本の価値が分かったというのです。

すごい業者もいたものですね。

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2004.06.21

閑居漫筆


 【書 名】閑居漫筆  【著 者】岡茂雄  【発行所】論創社  【発行日】1986/6/20  【価 格】2060円
帯には「本屋風情」拾遺とあります。

岡茂雄は出版会の三茂雄の一人で(他は岩波茂雄、反町茂雄)南方熊楠
や柳田国男などとの関係で特に有名です。今岩波から出ている広辞苑も
この人と新村教授がいなければ生まれませんでした。(ここらへんは本
屋風情をお読みください。何軒か古本屋さんを回ると見つかります)

この本は本屋風情に載らなかった話などが中心です。おもしろかったの
は佐久間象山で、皆さん「しょうざん」と読みますか?それとも「ぞう
ざん」でしょうか?

佐久間象山が活躍した頃、志士の多くは陽明学の洗礼を受けていました
が、陸象山(りくしょうざん)という先人の名前が響いていました。

佐久間もそこから名前をとったのではないかと言われていましたが、故
郷の象山(ぞうざん)という小山の名から取ったので「ぞうざん」が正
式の読み方だそうです。

性格的に鷹揚的なところがあるので別に「しょうざん」と呼ばれようが
返事をしていたそうで、それで後代に「しょうざん」が広まっていった
ようです。

この岡茂雄という人は出版界に入る前は軍人だったのですが、その頃の
話題も書かれています。

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2004.06.19

書店の近代


 【書 名】書店の近代  【著 者】小田 光雄  【発行所】平凡社新書  【発行日】2003/5/19  【ISBN 】4-582-85184-3  【価 格】740円
副題は「本が輝いていた時代」になっています。

江戸、明治の書店、個別では丸善、金港堂、洋書の中西屋
南天堂、岡書院、上海の内山書店、紀伊国屋書店、西川誠
光堂などが取り上げられています。

■啄木が自分の詩集を古本屋に売りに行ったエピソード

「この"あこがれ"は五銭てとこだね」
「五銭...」
「無名詩人ですよ。お客さん」

今だったらとんでもない値段でしょうね。

■檸檬の原作があった

梶井基次郎と言えば檸檬が有名ですが、これって最初は詩
の修作だったんですね。大正11年の「秘やかな楽しみ」がそ
れで、檸檬を買って丸善に行くシーンはまったく同じです。

これが後の檸檬になったんですね。

■紀伊国屋書店は薪炭問屋から

紀伊国屋書店は新宿市電の終端で昭和2年に誕生しました。
実家はその土地で代々続いていた薪炭問屋だったそうで、慶
応義塾を出た田辺茂一が22歳で書店を開業したのが発端です。

■古書業界

大正中期に書籍が委託制になり、大量の返本が発生し、それ
を処理するために古書業界が伸びたそうです。

岩波書店も三省堂書店も古本屋さんからのスタートでした。

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2004.06.17

第三閲覧室


 【書 名】第三閲覧室  【著 者】紀田順一郎  【発行所】新潮社  【発行日】1999/7/20  【ISBN 】4-10-306306-8  【価 格】1900円
紀田順一郎氏には古本屋探偵シリーズという神保町をテーマにしたミス テリーがあります。第三閲覧室は舞台をある大学図書館において、そこ で起きた古書にまつわる殺人事件を解くミステリーになっています。

昭和の初めに彗星のように現れて彗星のように消えていったボン書店
(本の中ではロン書房になっています)の幻と言われていた詩集が現存
したというのがテーマになっており、その部屋で殺人事件が発生します。

貴重書を集めていた学長が犯人なのか? はたまた...

というわけで古書好きにはたまらないミステリーになっております。
またブックデザインがいいですね。けっこう凝っています。

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2004.06.14

蒐書散書 本との出会い


 【書 名】蒐書散書 本との出会い  【著 者】坂本 一敏  【発行所】書肆 季節社  【発行日】1979/3/15  【価 格】2000円 古書値もあまり変らず
著者の署名本でして、定価よりも高く3000円以上の古書値をつけて いました。

「蒐書散書、是人生也」 大阪の天牛書店支配人に頼まれて色紙に書い
た言葉から本の名前をつけております。

本の中に北原白秋が作成した宝石本の話が出てきます。本は「わすれな
ぐさ」で宝石入の特製本を作ったそうで(注文が少なく結局は見本だけ
で終わったのが定説のようです)元本になった大正4年に出た「わすれ
なぐさ」の写真も出ています。

どっかで見た本だなと本棚を探すと小寺謙吉の「書物奇譚 宝石本わす
れなぐさ」がこの北原白秋の「わすれなぐさ」と全く同じ装丁になって
います。今までそこまで凝った本とは思わなっかたのですが

この本は紀田順一郎氏が勝手に名前を使われてとクレームの文章を何か
の本に書いていて、それで入手した本です。

内容は白秋の宝石本は実は出ていて、という古書好きにはたまらない内
容ですが、装丁が実に贅沢でして、こんな本は最近はとんと見ませんね。

さて坂本氏ですが愛書家としても有名で昭和32年には愛書家サロンを
作り、昭和34年には三越で1週間、自分たちの美書や善本の展示を行
い、すごい盛況だったようです。図録まで自分たちで作ってしまったよ
うですね。日本書票協会の会長もされていた方です。(蔵書票の会)

最後の方には豆本の一覧も掲載されていますので、豆本収集家には基礎
資料となる本です。

署名本以外は時たま古本屋で見かけることができます。

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2004.06.10

古本めぐりはやめられない


 【書 名】古本めぐりはやめられない  【著 者】岡崎武志  【発行所】東京書籍  【発行日】1998/11/9  【ISBN 】4-487-79355-6  【価 格】1500円
やめられまへんね。(^^); 地方都市に行って探すのはまず居酒屋と古 本屋ですからね。時間が無くて一軒も寄れないと時などは、はなはだ 精神上よくありません。

著者は週刊読書人などに記事を書いているフリーライターです。関西
出身で、小さい頃の思い出で千林商店街などの古本屋の話などが出
てきます。

■値付け
 古本と言うのは店主の蔵書かつ財産で、その値付けには、深い経験
 からくるもので、値切るなんてことは普通しませんが、本にはこん
 な話が出ています。
 客「こんな本、置いといても買う人はおらんのちゃうか、もちょっ
   と勉強してくれへん」
 主人「何ゆうてはりまんねん。あんさんみたいな人がちゃんと買う
   てくれまっさ」古本屋の方が一枚上手です。

■古本屋通いの効能
 まず目を酷使するから視力は落ちる。以前に高い金で買った本を百
 円均一棚で見つけると歯がみするから歯が悪くなる。心臓にも当然
 負担がかかる。...埃を大量に吸うため肺ガンになる可能性を増
 大させる。...少しでも本代にまわそうとするため、ひどくケチ
 になる。ファッションにはまったく興味がなく、昼飯は四十を過ぎ
 ても学生と交じって牛丼や立ち食いそば、貧弱な定食で済まそうと
 する。それさえ、「この500円があれば、あそこのあの本は買え
 たな」などと思いながら食べるためはなはだ消化に悪い。...

■ロハ(無料、無一文)の語源
 大正時代に出てきた言葉で「只」をカタカナ読みしたものだそうで
 す。他にもアル中という言葉が出来たのもこの頃だそうです。

■ソノシート
 昔あった薄いレコード盤のことですが、これって朝日ソノラマの商
 標名だったんですね。知りませんでした。

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2004.06.08

古書収集十番勝負


 【書 名】古書収集十番勝負  【著 者】紀田順一郎  【発行所】創元推理文庫  【ISBN 】4-488-40604-1  【発行日】2000/12/15  【価 格】600円
紀田順一郎氏には古本屋探偵シリーズがありますが、今回の作品もミス テリー仕立てで古書の世界を面白く描いています。

ガンで余命が後1年ぐらいと分かった古本屋の店主が、それぞれ店で働
いている長女の旦那と次女の旦那のどちらかを後継者に選ぶ必要がせま
られ、考えついたのが指定された古書を十冊集めた方を後継者にすると
いう方法です。

バブルが崩壊したとはいえ、神保町の一等地にある店舗ですので、立て
替えて、貸しビル兼古本屋でやれば左団扇で生活できると欲もからんで
大変な勝負に

指定された十冊は海野十三の「十八時の音楽欲」など、割と簡単に集ま
る物、20年近く古書界にあらわれていない本など様々

即売展での盗難 出没する謎の愛書家 等、色々な事件が起きますが、
古本屋や古書収集家もからんで、古書好きにはニヤニヤする箇所がたく
さん出てきます。

しかも、最後にはあっというどんでん返しが 面白い1冊です。


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2004.06.07

古書無月譚


 【書 名】古書無月譚  【著 者】尾形界而  【発行所】東京堂出版  【発行日】1993/11/10  【ISBN 】4-490-20199-0  【価 格】1165円
古本屋に入ってきた客が今度行われる大市の目録を出して「ぜひとも 立原道造の詩集を買いたいのだが」と言い出した。見ると写真版に出 ている限定111部の署名入本である。

昭和12年に出た「萱草に寄す」である。
「ああ、ワスレグサですか。」

「あんたに頼もうか」「え、なにを?」(まさか入札を!?)

今度の大市は入札である。客から頼まれた古本屋の店主が客と値段を
決めて入札する仕組になっている。

「東京に懇意にしている本屋があるでしょう。」「あるけどね」
「住まいの近くにも本屋があったでしょう。」「本屋なんてないよ。
本屋はなくなったな。あんたの所で6軒目だけどね、字が読めない。
読めたのはあんたが最初だ。皆カヤグサと読んでいる。」

ひょんなことから大市で市場には2度と出ないと言われている本の入
札をまかされた場末の古本屋さんの物語である。

古本屋での入札の値段の決め方、別の業者との駆け引きなど古書好き
にはたまらない一冊です。最後もおもしろいですよ!

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2004.06.03

古書街を歩く

 【書 名】古書街を歩く
 【著 者】紀田順一郎
 【発行所】新潮選書
 【ISBN 】4-10-600208-6
 【発行日】1979/10/20
 【価 格】750円

福武文庫から新版として文庫本が出ていますが、こちらはその元となった本です。白木屋(現在の東急)などで古書市が行われた頃のいい時代の話などが満載です。

開店前すでに100人前後にふくれあがったマニアが、ガラスのドアを押して侵入しようとするさわぎ。

「良識ある行動をお願いします」とデパートの係員が叫ぶが、「早く開けろ、ケガ人が出るぞ」の声に圧倒されてしまう。前方でガラスにへたばりついた者は、じっと店内を伺っている。何基あるエレベータのどれが早いか、それともエレベータを駆け上がるかといった思案をしている。

10時開店と同時に奇声を発して雪崩こんだ古書マニアは2、3人の女店員をなぎ倒すやら、自分たちもツルツルに磨いた床に尻餅つく始末。

首尾よくエレベータに殺到さた先頭の一団は眼をつりあげて乗りこむやエレベータガールの背中におしくらまんじゅうのようにすがりつく、これは他のところに入ると、奥におしこめられてしまい、目的の階を出るとき4、5秒の遅れをとることになるからだ。エレベータガールは当然悲鳴をあげる。

それをかき消すように、「もう満員!」「ノンストップで7階に直行」などと口々にわめく。

7階。ズラっと並んだ用品売り場の女店員の見守る中を、大の男が追いつ追われつの大レース...

今では見かけることが無い光景ですねえ... 

■ヘンリーミラーの言葉
「金と同じように書物もふだんに流通させておくのがよい」という言葉があります、大阪あたりの都会では蔵書の保管費を考えたらとても手元に置けるものではありません。

ということで私の場合は、本棚2つに入らない分は全て読み終わったら古本屋さんへ直行するようになっております。読み終わった本を段ボールに入れて一杯になったら近くの古本屋さんに持ち込んでおります。

■バンザイ全集
全集を出すのは出版社としても大変で、第1巻を出したところ全然売れなく、その後の刊行をやめた全集もあるそうで、お手上げという意味で「バンザイ全集」「グリコ全集」と言うのだそうです。

■日本史篇
厳松堂が戦前に出した古書目録ですが、本文1096ページで、ほとんどあらゆる分野の文献が約6万3千点掲載されたいたそうです。

全国の古本屋さんが資料として活用したというぐらいすごい古書目録だったそうです。しかも自店在庫のものもありますが、ほとんどは色々な文献から拾い出したもので、いざ注文を受けてから探すという図太い神経だったようです。当時はそれでも何とかなったそうです。

■広文庫、郡書索引
物集高見、高量の親子二代に渡って、古い文献から制度文物・社会風俗に関するあらゆる事象を抜き出して作成した百科全集ですが、執筆のために田畑を売り払い、最後は寝ていたフトンを債権者に差し押さえられるというとんでもない状況でした。

学者の仕事の大半が文献検索に費されているので、その基礎的な文献索引を作ってやろうと企画されたものですが、個人でやるのはすさまじい量でした。

最後は命より大切な書物まで差し押さえられ、「今日、文明社会になったと言う者がいるが、これがその文明か!」と叫ぶ、大変な状況になっているのを新聞社が報道してくれてパトロンが現れ、出版することが出来ました。執筆を初めてから30年が経過していたそうです。

その37年後に名著普及会が復刻をしようと、まだ存命だった物集高量氏を訪ねたそうです。

「私はうれしいですが、この本を出すと、あなたの会社がつぶれますよ」と反対に止められたそうです。

「私には最近の出版社のようすが分かりませんが、講談社とおたくでは、どちらが大きいのですか?」
この時、名著普及会の小関社長は大きく胸をはって「それは、規模から言えば講談社が大きい。しかし、精神においては、ウチがはるかに大きい」こうして1975年に復刻版が出て、埋もれた書物に生命を吹き込んだのでした。

■敵中横断三百里
日露戦争の時、後の建川中将が奉天会戦を前にロシア軍の後方を偵察してその情報をもって日本軍を勝利に導いたドキュメントで、作者は山中峯太郎です。

全軍総司令官から秋山少将のもとへ秘密命令が来るところから始まります。「坂の上の雲」とあわせて読むと最適です。

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2004.06.02

世界の古書店3


   【書 名】世界の古書店3  【著 者】川成 洋編  【発行所】丸善 (丸善ライブラリ)  【発行日】1996/6/20  【ISBN 】4-621-05199-7  【価 格】700円
シリーズ第3作目です。「はるかなる本の文化を求めて」が副題です。 ミャンマーやらグアテマラやらすごい国の古書店が紹介されています。 研究とは言え、よくそんなところまで買い付けにいくなあと、ただあ きれるばかりです。

しかし、古本屋というのは不思議なところです。表から見てもコミック
ばっかりが目について、品揃えが悪そうな店だなー、きっと何も見つか
らないだろうなとは分かっていても、もしかしたら探している本が眠っ
ているかもしれない。

もしかしたら貴重な本があって、もう2度とお目にかかれない本がある
かもしれないと条件反射でガラガラと引き戸を開けて、中に入ってしま
いますね。何とも悲しい性で...

そして見つからなければ、やっぱり無かったなとホッとするのは一体何
なんでしょうね。

中にはひどいのもいまして、旅先で探している本ではないが、買うべき
本を見つけてしまい、しかも旅の途中で所持金がない場合(そんな時に
古本屋に入るな! けど金が無くてもあれば入ってしまうゴキブリホイ
ホイのような人生)こんな、時あなたなら一体どうしますか?

万引きする。それじゃ犯罪です。

こういう時は店の奥の上の方のこの店が開店以来一度も客が手をつけた
ことがなさそうな棚の片隅にそっと隠しておくのです。そして何年かた
って、またその町を訪れた時に...
その時はやっぱり無くなっているものですね。

セバスチャンが、いじめっ子に追われて逃げこんだのがやっぱり古本屋
で、その時、手にした本から、そう、あなたの「果てしなき物語」が始
まるのです......


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2004.06.01

世界の古書店2


 【書 名】世界の古書店2  【著 者】川成 洋編  【発行所】丸善 (丸善ライブラリ)  【発行日】1995/5/25  【ISBN 】4-621-05159-8  【価 格】700円
丸善ではシリーズとして毎年1冊づつ出す予定だそうです。

海外の古書店の紹介ですので、執筆されているのは大学の研究者
の方が多いですね。皆さんやはり「子供より古書が大事と思いた
い」の著者のように買いまくっています。

それにしても古本屋というのは夢を売る最後の商人ですね。

イギリスにはヘイ・オン・ワンという田舎町があります。ロンド
ンから直線でも200kmあり、鉄道もなく、行くとしたら車で
片道4時間のコースです。ここは町中が古書店です。

というより古書店がついでに町を経営しているようなもので、人
口わずか千人の町に大きな古書店だけでも14軒あり、在庫は
100万冊というすごい町です。

世界中から業者がバスを連ねて買い付けにくるようなところです。

こことロンドンのチャーリング・クロス街84番地にはぜひ行って
みたいですね。

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