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2004/04/05

リンボウ先生偏屈読書録

 【書 名】リンボウ先生偏屈読書録
 【著 者】林 望
 【発行所】丸善(丸善ライブラリー)
 【発行日】1995/9/20
 【ISBN 】4-621-05169-5
 【価 格】700円

PHP出版からも新作を出されているようですが、そちらは未読です。

リンボウ先生と言えばイギリス物(「イギリスは愉快だ」「林望のイギリス観察辞典」などなど)でも有名で大きな本屋に行くと世界の旅巡りコーナのエッセイの棚などに常備され、若い女性が手にとっています。

この人の本職は書誌学で私はもっぱらこっちの本ばっかり読ませてもらっています。イギリス物は読んだことがありません。特に「書誌学の回廊」は入門的で分かりやすくておもしろかったです。対談集やリンボウ先生の書評を集めた内容ですが、色々と教えてくれます。

例えば日本で最初に書斎という言葉が出てくるのが「本朝文粋」にある菅原道真の「書斎記」だそうで、内容は狭い一角を区切って本を読む。つまり書斎ですね。そして、「秀才進士のこの局より出ずる者、首尾ほぼかぞふるに百人に近し。故に学者この局をなづけて竜門となす」です。つまり書斎は登竜門だったということです。

この書斎記には知的生産の技術も出てきます。「学問の道は抄出をむねとなす。抄出の用は”こうそう”をもととなす」”こうそう”というのは抄出のカードのことで梅棹顧問よりはるか昔にカードの効用をとく人物がいたとは 

学問というのはすべからく抜き書きの処理でいいという。達観してますね。さすがは学問の神様ですね。ところがこうやって整理したカードシステムも「智有る者はこれを見て巻きて以て懐にす」悪い連中がいて勝手にあがりこんでこりゃいいやと持っていってしまう。

もっとひどいのになると「智なき者はこれを取りて破りて以て棄つ」 こりゃお手上げですな

書斎はずっと勉強部屋だったようで、この形が付書院とかに変わり、床の間になったようですね。床の間に仏画と香と花を飾って、違い棚がありますね。あそこに巻物を置いて読んだようです。ですので棚の端が反っていますよね。あれは巻物を落とさないためのものだそうです。(家に床の間のある方は確認してみてください)

リンボウ先生はまた究極の本の整理のアイデアがあるようで、不要箱といって出しておられます。細長いうなぎの寝床みたいな箱を作って。そこに読んだ本を右から入れていく、途中でまた使えば最初に戻す。そうこうしたら左から落っこちるのは処分する。とそうです「超」整理法の本版です。こうやれば絶対に本は増えないはずなんだが...と書いてあるのでやっぱり効果はないのでしょうね。

他にもイギリスに住んだ時にそこが童話作家の家で、物語の舞台となった家に住みながら、作者と一緒に住みながら、その作品を読むなんて読書家にとって夢みたいなことを実現されている話とか載っております。

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