せどり男爵数奇譚
【書 名】せどり男爵数奇譚
【著 者】梶山季之
【発行所】夏目書房
【ISBN 】4-7952-5784-1
【発行日】1995/6/25
【価 格】1400円
「せどり」というのは古本屋さんの用語で本の背文字を読んで抜き取るのが語源という説もありますが、はっきりしたことはわかっていません。
他の店から売れそうな本を買って、都会の古本屋などで売ってその差額を儲ける商売です。現在ですと新古書店で絶版の文庫などを掘り出してきて高値で売るようなことも行われています。
昔は開店したての古本屋さんなんかがよく狙われました。
まだ古本の知識が豊富でない主人の店などセドリの連中が来て、めぼしいものをざっと買っていって後には端本ばかりという状態でした。
さすがに情報がこれだけゆきわたる世の中ではその数は減ったようです。それでも田舎に出張した折などに古本屋さんに入ると神田あたりではすごく高い本が均一本コーナなんかに並んでいたりします。それを見てゾクゾクとするのは古本マニアならではの感情でしょうね。
この本はミスター・セドリの本にまつわる6話構成になっています。それも艶話なのでなかなか楽しめます。
著者の梶山氏は自動車業界を話題にした「黒の試走車」(角川文庫)などで有名な作家です。1975年の取材先の香港で吐血、不帰の人となりました。本は最初、桃源社から単行本で出まして、河出文庫版もあります。
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