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2004.04.29

駆け出しネット古書店日記


 【書 名】駆け出しネット古書店日記  【著 者】野崎正幸  【発行所】晶文社  【発行日】2004/1/30  【ISBN 】4-7649-6607-7  【価 格】1800円
「ダカーポ」などのフリーライターをやっている著者が別の事業 として始めたインターネット古書店の開業日記になっています。

店売りは無しで、古物商許可書の取得から、車の免許を取りに
行くところから始まります。

ホームページ作りに苦労し、やがて古書組合にも入り、業者市
での仕入れや、古書即売会への参加などネット古書店開店時
のノウハウ本になっています。

注文があれば後払いで本を送っていますが、払わない客も出
てきて持ち出しになりますが裁判をおこしたり、反対に二回も
振込する客がいて、次回の注文につながるありがたい客が出
てきたりなど

ネットであろうとリアルであろうと、やはり仕入と値付けが古書
店の要のようです。

文雅新泉堂

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2004.04.20

死の蔵書


 【書 名】死の蔵書  【著 者】ジョン・ダニング  【発行所】早川書房  【発行日】1996/2/20  【ISBN 】4-15-170401-9  【価 格】720円
 男はタフでなければ生きていけない    男はやさしくなければ生きている資格がない

ハードボイルド推理小説です。推理小説の舞台が実におもしろく、デ
ンバーの古本屋街になっています。

古書が好きな警官が事件に巻き込まれますが、まずは古本堀出し屋、
日本で言えばセドリですね。彼が殺されるところから物語が始まります。

途中のドンデン返しやセリフにちりばめられた古本の話など、本好きに
はたまらない一冊になっています。

日本には紀田順一郎氏の古本屋探偵シリーズがありますが、推理が
中心でどちらかというとアガサ・パターンですね。ですがこの本はアメリ
カ・ハードボイルドで、やはりチャンドラー風になっています。

それにしても不思議なのが著者のジョン・ダニングです。
ミステリー作家として賞などをとったりしていたのが出版社とのトラブ
ルですっかり、作家がいやになり、コロラドに古本屋をひらいてやってい
ました。そしてミステリ界に復帰して作成したのが、この本です。
ネロ・ウルフ賞という賞をこの本で獲得しているそうです。

例によって京都の三月書房の「世界の古書店」という新書の隣にデー
ンと本の大きさの統一など全くなく文庫本が1冊置いてあり、古本関
係かなと思って手にとったのがこの本でした。あの本屋の棚は本当に
絶妙ですね。

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2004.04.14

鹿の幻影


 【書 名】鹿の幻影  【著 者】紀田順一郎  【発行所】創元推理文庫  【発行日】1994/2/18  【ISBN 】4-488-40602-5  【価 格】417円
近くの瓢箪山書房に本を売りに行った時に見つけました。古本をテーマ にした推理小説です。

紀田順一郎氏には古本屋探偵シリーズがあるはずだがと奥を見ると、古
本屋探偵シリーズの後に書かれた作品のようですね。神保町が舞台な
のですが、愛書家の姿などが実によく描かれています。

■本の収集が行きつくと古本屋になる。
「ほんとに欲しいと思うか?それなら古本屋にならなければダメだ。本
屋になって市に出入りし、仕入ソースを握らないかぎり、永久におこぼ
れを高い値段で買い続けねばならない。....」

でも果たして愛書家が古本屋になって本を売ることができるかどうかは
大いに悩むところです。一時期、上杉暁あたりも古本屋をやっていたそう
ですから、分かる気もしますが本を読む時間は無くなるだろうな...

■本が好きな社員は変わり者扱い
プロ野球、麻雀、ゴルフと言ったサラリーマンの日常的話題や関心の中
に、どう見ても愛書趣味や読書に関する話題は入り込みようがない。

アイアン9本セットが10数万円からと騒いでいる世界ではそれだけの金
があればビアズリーの「イエローブック」13冊揃いが買えるなどと思って
いる者は黙っているしかないのである。

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2004.04.12

古書まみれ


 【書 名】古書まみれ  【著 者】中川 道弘  【発行所】弓立社  【発行日】1997/11/1  【ISBN 】4-89667-767-6  【価 格】2200円
古書上野文庫店主の著書です。この方、旭屋やリブロ池袋店の店長 など新刊書店で働いてから古本屋になられた方です。

■まずい
 「入荷次第、お電話をください」と、お客が古本屋に話しています。

 「ただし、女房が電話口に出たら、その時は 近頃ご主人はまったく
  お見えになりませんなあ。年に一度くらいは覗くようにお伝えくだ
  さいと言ってください。それを合図としましょう。」

 この古本屋に話をしているお客の気持ちがよく分かります。
 古書の匂いって女性には好かれませからね。

■運勢
 古本屋を開こうとする30代の男が念のため易者に見てもらった。

 「金ぐりに苦労しますな、40才までは」
 「40才からは?」
 「その苦労に慣れますよ」

 なかなかするどい易者ですね。元、古本屋だったりして

■古本屋の店頭での会話
 「話し込むタイプの客などで困る事もおありでしょう。そんな時はどう
  なさるんです?」
 「家内にベルで合図して、交替しましょうかと来てもらうんですよ。」
 と言ったとたん、奥から彼女が現われて、
 「あなた、交替しましょうか」

■感じ方
 古本即売会の会場で
 「買いたいものが1冊しか無かったよ」
 「そうか。僕は買いたいものが1冊あったよ」

 エニアグラムのタイプ別分類の質問に使えそうな項目です。ちなみに
 私は下の発言のタイプです。

古書上野文庫は地下鉄末広町と上野広小路のちょうど真ん中ぐらいに
あるそうです。他にも川柳や古本屋マーフイなどニヤリとさせられる文章
が多いです。

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2004.04.08

出版販売用語の始まり


 【書 名】出版販売用語の始まり  【著 者】松本昇平  【発行所】ビー・エヌ・エヌ  【発行日】1992/03/10  【ISBN 】4-89369-178-3  【価 格】1942円

出版販売で50年の経験を持つ著者が明治・大正・昭和初期の販売用
語集をまとめた本で、用語解説というよりも近代日本出版史になって
おります。

中には81年に著者が「業務日誌余白−−わが出版販売の50年」を
上梓した時の出版記念パーテイの模様が小冊子として入っております。
ポプラ社社長、講談社会長、有隣堂社長、粟田書店社長、集英社社長
東販専務などそうそうたるメンバーが揃っています。皆、現役時代に
著者にお世話になった話が出てまいります。

いくつか面白い用語を

■斬捨御免
書店からの注文に対して本の在庫があっても、自分の勝手で品切だと
嘘をつく時の用語だそうです。当時の取次会社の小僧は正月3日とお
盆に1日休めただけで、あとはずっと仕事でした。

版元の方は日曜は休日で、休日でも品出しだけはするよう小僧さんに
頼んでも3度に1度は休まれてしまう。その時に使った用語だそうで
す。

■大便明細書
大正時代の尼港事件などから奉天などへ出兵していた日本軍から本
の注文が来た時に中継地の大連港へまず船便で送る作業が必要でし
た。それで略して大便という用語が使われていたそうです。

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2004.04.05

リンボウ先生偏屈読書録


 【書 名】リンボウ先生偏屈読書録  【著 者】林 望  【発行所】丸善(丸善ライブラリー)  【発行日】1995/9/20  【ISBN 】4-621-05169-5  【価 格】700円
PHP出版からも新作を出されているようですが、そちらは未読です。

リンボウ先生と言えばイギリス物(「イギリスは愉快だ」「林望のイ
ギリス観察辞典」などなど)でも有名で大きな本屋に行くと世界の旅
巡りコーナのエッセイの棚などに常備され、若い女性が手にとってい
ます。

この人の本職は書誌学で私はもっぱらこっちの本ばっかり読ませても
らっています。イギリス物は読んだことがありません。特に「書誌学
の回廊」は入門的で分かりやすくておもしろかったです。

対談集やリンボウ先生の書評を集めた内容ですが、色々と教えてくれ
ます。例えば

日本で最初に書斎という言葉が出てくるのが「本朝文粋」にある菅原
道真の「書斎記」だそうで、内容は狭い一角を区切って本を読む。つ
まり書斎ですね。そして、
「秀才進士のこの局より出ずる者、首尾ほぼかぞふるに百人に近し。
故に学者この局をなづけて竜門となす」です。つまり書斎は登竜門だ
ったということです。

この書斎記には知的生産の技術も出てきます。「学問の道は抄出を
むねとなす。抄出の用は”こうそう”をもととなす」”こうそう”と
いうのは抄出のカードのことで梅棹顧問よりはるか昔にカードの効用
をとく人物がいたとは 

学問というのはすべからく抜き書きの処理でいいという。達観してま
すね。さすがは学問の神様ですね。ところがこうやって整理したカード
システムも
「智有る者はこれを見て巻きて以て懐にす」
悪い連中がいて勝手にあがりこんでこりゃいいやと持っていってしまう
もっとひどいのになると
「智なき者はこれを取りて破りて以て棄つ」 こりゃお手上げですな

書斎はずっと勉強部屋だったようで、この形が付書院とかに変わり、床
の間になったようですね。床の間に仏画と香と花を飾って、違い棚があ
りますね。あそこに巻物を置いて読んだようです。ですので棚の端が反
っていますよね。あれは巻物を落とさないためのものだそうです。
(家に床の間のある方は確認してみてください)

リンボウ先生はまた究極の本の整理のアイデアがあるようで、不要箱と
いって出しておられます。細長いうなぎの寝床みたいな箱を作って。そ
こに読んだ本を右から入れていく、途中でまた使えば最初に戻す。そう
こうしたら左から落っこちるのは処分する。とそうです「超」整理法の
本版です。こうやれば絶対に本は増えないはずなんだが...と書いて
あるのでやっぱり効果はないのでしょうね。

他にもイギリスに住んだ時にそこが童話作家の家で、物語の舞台となっ
た家に住みながら、作者と一緒に住みながら、その作品を読むなんて読
書家にとって夢みたいなことを実現されている話とか載っております。

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2004.04.01

せどり男爵数奇譚


 【書 名】せどり男爵数奇譚  【著 者】梶山季之  【発行所】夏目書房  【ISBN 】4-7952-5784-1  【発行日】1995/6/25  【価 格】1400円
「せどり」というのは古本屋さんの用語で本の背文字を読んで 抜き取るのが語源という説もありますが、はっきりしたことは 分かっていません。

他の店から売れそうな本を買って、都会の古本屋などで売っ
てその差額を儲ける商売です。現在ですと新古書店で絶版の
文庫などを掘り出してきて高値で売るようなことも行われて
います。

昔は開店したての古本屋さんなんかがよく狙われました。

まだ古本の知識が豊富でない主人の店などセドリの連中が来
て、めぼしいものをざっと買っていって後には端本ばかりと
いう状態でした。

さすがに情報がこれだけゆきわたる世の中ではその数は減っ
たようです。それでも田舎に出張した折などに古本屋さんに
入ると神田あたりではすごく高い本が均一本コーナなんかに
並んでいたりします。それを見てゾクゾクとするのは古本マ
ニアならではの感情でしょうね。

この本はミスター・セドリの本にまつわる6話構成になって
います。それも艶話なのでなかなか楽しめます。

著者の梶山氏は自動車業界を話題にした「黒の試走車」(角
川文庫)などで有名な作家です。1975年の取材先の香港
で吐血、不帰の人となりました。
本は最初、桃源社から単行本で出まして、河出文庫版もあり
ます。

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