ヴィレッジ・バンガードで休日を
【書 名】ヴィレッジ・バンガードで休日を
【著 者】菊地 敬一
【発行所】リブリオ出版
【発行日】1997/9/20
【ISBN 】4-89784-558-0
【価 格】1600円
アルメデイアから「菊地君の本屋」という本が出ていますが、これはヴィレッジ・バンガードの店主が書いた本です。ヴィレッジ・バンガードもすっかりメジャーになり、今はジャスダックに上場しています。
元々は名古屋にある本屋です。名前はヴィレッジ・バンガードで、本屋らしくない本屋として有名です。
店にやたらとあるビリヤード台、その上にも本を置いてCDなどと共に売っている本屋です。店の名前はNYにあるジャスクラブの名前からとっています。
入口には階段があり、そこを登らないと入店できません。取次会社に「階段を1段昇るごとに売上が1万円落ちますよ」と言われても、やめませんでした。上にあがるとジオラマのように1階売り場が一望できるようになっています。
■店長昇進試験(答えは後で)
1つだけ違っているものがあります。
問1 村上春樹、筒井康隆、島田雅彦、村上龍、中島らも
問2 レイチェル・カーソン、有吉佐和子、ジョン・ミュア、ヘンリー・D・ソロー、オスカー・ペテイフォード
■社員に向かって
「自分の本棚にある本をどこの本屋で買ったか覚えているか、残念ながら俺も覚えていない。ヴィレッジ・バンガードで本を買ったお客さんが、例えば20年経って、その本を手にした時、20年前のヴィレッジ・バンガードをまざまざと甦らせて、覚えてくれる、そんな本屋になろう」
■ロバート・D・ヘイルの言葉
本の真の実質は、思想にある。書店が売るものは、情報であり、霊感であり、人とのかかわりあいである。本を売ることは、永久に伝わる一連の波紋を起こすことである。書店は書棚に魔法を満たすことも、嵐を吹かせることもできる。書店員が特別な人間でなくてなんであろうか。
■融資の話に来た銀行員に
銀行はいいよな。あなた方はお金をお金に変えるだけだから。僕らはお金を物に変え、物をお金に変えるという面倒なことをやらなけでばならない。
■委託制度
開店するのに(ヴィレッジ・バンガードではありません)取次に保証金を支払、棚の費用や内装費で5000万円ほどかかった。山のような商品が来て、開店1ヶ月で何とか600万円の売上があった。
月末に600万×0.78(原価)=470万円の用意をしていたら取次会社から来た請求書には3980万円とあった。
つまり委託とは返品はいくらしてもいいが、送ったものはすぐ払ってという世界である。本屋開業の場合は初期投資がかなりでかい。
あまり知られていないことに日本の出版社の90%は買い切りである。聞いたことがない出版社はまず買い切りである。どおりで日本中の新刊書店が金太郎飴状態になるはずである。
出版の営業マンの噂
「町田の小さな本屋には昭和30年前後発刊の岩波新書の柳田国男全集が全巻、棚の最上段に当時の値段のまま埃だらけにして差し込んである。」
■本屋は儲かるか?
粗利が23%で、ここから家賃、人件費、袋代、電気代、電話代などすべて払う必要があります。再販委託のないアメリカでは粗利は40%になります。アメリカの本屋では返品できませんので、どこかで見限ってダンピングしなければなりません。ですから売り場の第一条件は「定価販売をどれだけ長く続ける」かにかかってきます。
■店長昇進試験(正解)
問1 正解は直木賞、芥川賞で村上龍、他は候補になったが受賞していません
問2 キーワードは環境問題、自然運動。レイチェル・カーソンはご存じ「沈黙の春」ソローは「森の生活」、有吉佐和子「複合汚染」、ジョン・ミュアはカーソンの師匠なので答えはオスカー
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