チャリング・クロス街84番地
【書 名】チャリング・クロス街84番地 書物を愛する人のための本
【著 者】ヘレーン・ハンフ 江藤淳訳
【発行所】中公文庫
【発行日】1984/10/10 1992 4版
【ISBN 】4-12-201163-9
【価 格】520円
昔、小学校の高学年頃からリーダーズダイジェストを親に買ってもらっていまして、特に印象に残っているのが連載されていたルーツとチャリングクロス街という記事です。
チャリング・クロス街についてはどんな内容だったのか忘れてしまいましたが傘を持ったおばさんが石畳の道の上で飛んではねている挿絵が印象的でした。
以前に古本屋で見つけて買った「続・読書の技術」(紀田順一郎)にこの本が載っておりまして、読みますと、リーダーズ・ダイジェストのの1971年2月号に載ったそうで、そうすると11歳の頃に読んでいることになります。
■本の内容
内容はニューヨーク在住の女性シナリオ・ライター(ヘレーン・ハンフ)とロンドンの古本屋さんの20年にわたる往復書簡集です。この古本屋がまたデイケンズの世界から抜け出してきたような古本屋でした。
そんな由緒ある古本やとは知らず新聞広告を見てヘレーンは必要な本のリストを1949年に送りました。さっそく本が送られ喜んだ彼女が礼状を出し、そこから手紙のやり取りが始まります。
当時はイギリスの食料事情が悪く、彼女はたびたび肉や卵を送ります。そのせいか最初は謹厳な英国人マナーをくずさかなった古本屋のマネジャーもだんだん相好をくずし、個人的なやりとりとになりました。
■本を買う
まあ、そういう古書好きにはたまならい本ですが、たまたま寄った、ほとんど古本屋のような新刊書店の三月書房(京都・寺町二条上ル)にこの中公文庫がありまして、さっそく買いました。(何であの本屋には大型書店にもないような文庫が揃っているんだ!!)
おもしろい内容ですね。これでイギリス文学なんかやっていたらたまらない本ですね。(さすがにこの方面は暗いのでよく分かりませんでしたが)訳者の江藤氏によると注文したり送ってくる本が実にいい本だそうで、そこらあたりを読むだけでも楽しめます。
■物語の続き
お金を貯めていつかはロンドンの古本屋に行くというのがヘレーンの夢でしたが色々ありまして、20年間ついに行けませんでした。書簡をやり取りしていたマネージャも社長も没してしまいます。物語はそこで終わっています。
この本によると後日談があるそうでついにヘレーンはロンドンの土地を踏み、この古本屋(マークス社 いまもあるそうです)を遂に訪問したそうです。
となるとリーダーズ・ダイジェストで見た、あの挿絵はロンドンに着いて古本屋を訪れたヘレーンが狂喜乱舞している挿絵だったのでしょうか?(となると後日談の方を読んだのかな)
タイトルのチャーリング・クロス街84番地というのはヘレーンがいつも書いていた宛名、つまりマークス社の住所です。私も古本屋さんと古書目録などで往来がありますが、この本を読むと感激しますね。愛書家におすすめの1冊です。
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コメント
o(*^▽^*)o
はじめまして。チャリングクロス街84番地は、私は小学校3年生のときに、母が読んでいたのを読みました。ニューヨークもロンドンも歴史もろくに知りませんでしたが、非常に印象深かったのを覚えています。特に、乾燥卵って何?と思ったのを覚えています。おかげでチャリングクロスは多分ロンドンで覚えた最初の地名でしょう。今でも、リーダーズダイジェスト社から出たハードカバーを持っています。当時江藤淳氏の訳ということででていましたが、母の知人が本当は訳していたとかで、諸事情あり、本人の名義では出版できなかったと聞きました。リーダイはとうになくなってしまいましたが、本そのものは、中公文庫で出ているのですね。ペーパーバックとDVDを本日アマゾンで注文したので、映画を見て、原文を読むのが楽しみです。
投稿: silversword | 2010/02/06 22:04
silversword様
コメントありがとうございます。
そんないきさつがあったんですかあ!情報ありがとうございます。
投稿: 水谷哲也 | 2010/02/12 23:06