2017/03/25

ビジネスエリアの新論語

 【書 名】ビジネスエリアの新論語
 【著 者】福田定一(司馬遼太郎)
 【発行所】文春新書
 【発行日】2016/12/10
 【ISBN 】978-4-16-661110-2
 【価 格】860円

昭和30年、司馬遼太郎がサラリーマン時代に本名である福田定一で出版した本です。第二部が面白いですね。新聞記者時代に会った二人の老記者ですが、部長や局長になるといったことを目指さず新聞記者としての生き抜いている二人と会った話が出てきます。世間的には負け組と思われようが本人は満足した生き方をしています。一人に対しては会社がまずいと思ったのか、お情けとして「校閲部長にならないか」と言った時に「晩節を汚す」と断られた話は面白いですね。

司馬遼太郎という名前は司馬遷からきているとは類推できますが、決めたのは奥さんのお母さんだったんですね。司馬遼と司馬遼太郎の2つの候補から選ばれたそうです。昔、梅棹忠夫先生が司馬遼太郎との思い出で、新聞記者として優秀だったのは奥さんの”みどり”さんの方だったとおしゃっていたのを思い出しました。

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今日、会社が倒産した

 【書 名】今日、会社が倒産した
 【著 者】増田 明利
 【発行所】彩図社
 【発行日】2016/07/12
 【ISBN 】978-4-8013-0157-3
 【価 格】630円

16人の企業倒産ドキュメンタリーという副題がついています。帯には「誰の身にも起こりうる倒産、その時あなたはどうする?」とあるように、経営者であろうと雇用者であろうと、明日、会社がどうなるか分かりません。経営者が認識しておかないといけないのは、どうしようもないところまで追い込まれる前に早目に判断することです。負債総額が3億円で自己破産を申請すると概算で550万円ほどがかかり、このお金がないと夜逃げせざるをえません。また従業員を解雇することになるので解雇手当が1ケ月分、必要です。ただリーマンショックのような全く予期しない外部環境の変化があると難しいですねえ。

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2017/03/19

織田信長の家臣団

 【書 名】織田信長の家臣団
 【著 者】和田 裕弘
 【発行所】中公新書
 【発行日】2017/02/25
 【ISBN 】978-4-12-102421-3
 【価 格】900円

織田信長の古参家臣だった佐久間信盛が本願寺攻めの不手際などでリストラされましたが、原因は信長一族と婚姻などの人脈を築いていなかったことがあるようです。織田信長といえば柴田勝家、滝川一益、羽柴秀吉、明智光秀などの方面軍が有名ですが、配下の武将との関係などを丁寧に検証しており、巻末には人名による索引までついています。

織田信長が家督を継いだころ、弟の信勝と領地や家臣が二分された状態で、自らの力で統一していくことになりカリスマ性を身につけます。他の戦国大名が有力家老に頭があがらない状況と違い自分で決めることができました。桶狭間の合戦でも家臣から裏切りを出すことなく乗り切れました。明智光秀は自分の名誉のために本能寺の変を起こしましたが、家臣団に尾張勢がほとんどいなく情報統制ができたところも大きかったようです。


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2017/03/15

ようこそ授賞式の夕べに

 【書 名】ようこそ授賞式の夕べに
 【著 者】大崎 梢
 【発行所】創元推理文庫
 【発行日】2017/02/24
 【ISBN 】978-4-488-48706-5
 【価 格】660円

「配達あかづきん」、「晩夏に捧ぐ」、「サイン会はいかが?」に続く成風堂書店事件メモの第4弾。今回は「出版社営業井辻智紀の業務日誌」とのコラボ作になっていて舞台は書店大賞の事務局。届いた脅迫状の謎を解いていく過程で、書店大賞の功罪や批判はあっても書店をつぶさないためにはやらざるをえない業界事情などが分かり、こちらの話がとっても面白いですね。

書店大賞に入賞した著者が広報のために”書店まわり”をしたが冷たくあしらわれたと語るシーンがあります。私も先日、著作をだしたので自作POPを持って”書店まわり”をしましたが、どこも丁寧に対応してもらったので、よほど忙しい時間帯だったんでしょうかね。

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2017/03/12

謀略!大坂城

 【書 名】謀略!大坂城
 【著 者】加来耕三
 【発行所】さくら舎
 【発行日】2017/1/15
 【ISBN 】978-4-86581-086-8
 【価 格】1,600円

西軍側で大津城攻めをしていた立花宗茂が関ヶ原の合戦の結果を聞き、大坂城の総大将である毛利輝元に籠城策を献策します。もし毛利輝元が籠城して家康と戦えば、徳川幕府はまず成立しなかったでしょう。加藤清正、福島正則はおそらく秀頼側につきますので、東軍は空中分解してしまい家康は秀頼に戦勝報告をして、豊臣政権が続いたはずです。

また家康は常真(織田信雄)、有楽(織田長益)を秀吉が生かしていたように、最初は秀頼を同じように扱うことを考えていましたが、あまりに楽観的に考える豊臣側の間違った戦略選択もあり、大坂の陣で豊臣は滅んでしましました。最新の説などを導入し、大坂の陣を解き明かしています。

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ビブリア古書堂の事件手帖7

 【書 名】ビブリア古書堂の事件手帖7
 【著 者】三上 延
 【発行所】メディアワークス文庫
 【発行日】2017/2/25
 【ISBN 】978-4-04-892640-9
 【価 格】650円

ビブリア古書堂シリーズの最終巻。主人公・栞子さんとアルバイトの五浦君の恋の行方は大団円になっています。今回はシュークスピアのファースト・フォリオがテーマになっています。ファースト・フォリオ と は、シェイクスピアの戯曲をまとめて出版した最初の作品集で、数が少ないため希少価値がめちゃくちゃ高くなります。

古書をテーマとした謎解きといえば紀田純一郎の「古本屋探偵の事件簿」や梶山季之の「せどり男爵数奇譚」などがありますが、ビブリア古書堂シリーズはよく売れているようです。まず古書店店主がすごい美人という、ありえない設定と恋愛をからめたところが成功要因です。しかも古書の謎解きを人間模様をからめて、しっかり書かれています。なんで古書の本がメディアワークス文庫なのと思いますが、古書好きのオジサンという顧客ターゲットを狙わなかったのがもう一つの成功要因でしょう。

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2017/03/04

応仁の乱

 【書 名】応仁の乱
 【著 者】呉座 勇一
 【発行所】中公新書
 【発行日】2016/10/25
 【ISBN 】978-4-12-102401-5
 【価 格】900円

足利義政が弟の義視に後継者にしたところ、日野富子が子供(義尚)を生んだことで後継者争いに発展。それぞれ細川勝元と山名宗全がくっついて、応仁の乱が勃発したというのが一般的なイメージなんですが、そんな単純な話ではなく、実態はめちゃくちゃ複雑でした。興福寺の僧である経覚と尋尊が奈良を中心に応仁の乱について日記を記載しており、これをもとに解き明かしています。巻末には人名の索引がついており、応仁の乱を理解するには最適な一冊になっています。

守護は在京し、守護代が任地に赴任していましたが明応の変で、この在京制度が成り立たなくなり、守護が任地に行き、こころから戦国大名になっていきます。越前の守護は斯波氏でしたが、守護代の朝倉がのっとってしまいます。仕方ないので、斯波氏はもう一つの任地である尾張に下りますが、やがて織田によってとってかわられます。


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2017/03/01

天皇にとって退位とは何か

 【書 名】天皇にとって退位とは何か
 【著 者】本郷 和人
 【発行所】イースト・プレス
 【発行日】2017/01/27
 【ISBN 】978-4-7816-1506-6
 【価 格】1400円

歴史学者から見た天皇の退位に関する分析です。江戸時代など京都周辺は別にして一般庶民は天皇の存在を知りませんでした。大名という”殿さま”がいただけです。日本はバラバラの集合体ですが、伊藤博文などがヨーロッパ諸国を見に行くとキリスト教で一枚岩になっていました。そこで国民のあいだに天皇の重要性を認識させ、アイデンティティを植え付けていくことになります。また明治政府は世襲を排し、父親の身分によって加点されるような抜け道をなくしました。ですが二世議員や三世議員が出るようにまた世襲社会に戻っています。

武家が天皇にとって代わろうと思えばできる軍事力がありましたが、できなかったのは武家が独自の土地所有の仕組みをつくりだすことができなかったことにあります。
土地所有は職の大系で、土地を一人で所有するのではなく重層的な支配構造のなかで所有しています。
本家-最上位の土地の名義上の所有者 摂関家や大寺社など
領家-有力貴族、有力寺社
地頭、下司-現場で荘園を管理する武士
公文-現地で実務をとっていた下級職員

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2017/02/23

境界大名16家

 【書 名】境界大名16家
 【著 者】榎本 秋
 【発行所】洋泉社
 【発行日】2017/01/26
 【ISBN 】978-4-8003-1137-5
 【価 格】900円

大河ドラマ「井伊直虎」では三河の徳川と遠州の今川に挟まれた境で懸命に生き残る井伊の姿が描かれています。戦国時代はあちこちで同じことが行われていました。勝ち残る方につかなければ家が滅んでしまいます。特に境界に位置する武将にとっては死活問題でした。なんとか生き残り大名となった16家を紹介しています。

紹介されているのは井伊、亀井、諏訪、真田、相馬、相良、水の、奥平、有馬、大村、遠山、小笠原、伊東、宋、松浦、柳生の16家。小笠原氏は信濃守護でしたが武田信玄の進攻によって信濃を追われます。同族が三好氏だったことから三好長慶の芥川城などにも滞在しています。小笠原流というと礼法のイメージがありますが、江戸時代は礼法を教えることが禁じられていたそうで、民間の浪人によって礼法小笠原流は広まったそうです。

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2017/02/20

秀吉と海賊大名

 【書 名】秀吉と海賊大名
 【著 者】藤田達生
 【発行所】中公新書
 【発行日】2012/01/25
 【ISBN 】978-4-12-102146-5
 【価 格】760円

道後温泉のすぐ近くに湯築城があり、本拠においていたのが瀬戸内海の海賊大名だった河野氏。長宗我部、毛利、秀吉などに翻弄されて最後は滅びます。四国出身の大名で生き残ったのは来島氏(豊後森藩)だけでした。

■本能寺の変の遠因
織田政権で中国・四国政策の中心だったのが光秀で信長自身も毛利との和平を考えていたようです。光秀は長宗我部とも結んでいました。毛利と戦うという主戦派の秀吉と宇喜多直家は織田政権では少し浮いた存在です。まずいと思った秀吉が目をつけたのが四国、三好康長と結んで長宗我部と戦い東瀬戸内地域を織田政権側にします。これで織田信長の政策が変わります。光秀は秀吉に破れた形になります。

■国替え
信長、秀吉が考えたのが預治(よち)思想。鎌倉武士いらいの一所懸命ではなく天下人から領地、領民、城郭を預かる形になります。本領を守り抜くという中世武士の価値観こそ戦国動乱を長期化させ泥沼化させた原因だと考えていました。信長は海外から植民地化されないよう適材適所の統一国家をつくらなければと思っていたようです。本格化するのは江戸時代で隣の大名との戦争は起らなくなりました。


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